東京観光・Bialystocks

たしか四月の上旬、アルファーステーションで新しく始まった堀込高樹さんのラジオ。二週目か三週目のときにかかった一曲がもうものすごく好みで、こんなに好きと思ったのはいつぶりかと打ち震えた。

Bialystocks(ビアリストックス)というバンドの、かかっていたのは「Over Now」という曲。
すぐネットで検索して、その日だったか前日だったかに大阪でライブがあったところやったと知った。一瞬まだこれからまにあうかも、と日にちを勘違いして、これは行くぞという気になって、振り上げた手を降ろせないような心持ちだった、ということもあり、次に東京でライブがあると知って、ここはひとつ上京だ、と勢いづいた。

とはいえ、チケットはすでに完売で、とりあえずチケットぴあでリセールがでればメールがくるように登録。一向にそのお知らせメールはこない中、ある夜眠っている時、ふっと目がひらいて、い、今な気がする、とスマホをたぐり寄せ、ぴあのページを開いた。深夜2時。あった、リセール情報1件。これ逃したら買えへんかもしれん、ええい、と申し込んでしまった。

それでもまだ体力のなさから、リセールで買ったやつ、リセールしようか、と少し迷っていたけど、チケット発券してみたら整理番号77番、出張パックで新幹線とってみたら座席7号車7番。行ってみてもいいのかも、と思い、そのまま新幹線とホテルを予約した。

極力無理をしない旅程で計画し、仕事や生活のもろもろをなぎ倒し出発。

コロナの影響がでる少し前から、まる3年近く京都から出てなかったので、なんかもっとわくわくするかと思ったけど、それはそうでもなかった。(県外へのおでかけ直近は2019年9月の六甲だった。東京へは2015年ぶり。)あれはいつやったんかな。たぶん二十歳すぎとかそんな歳の頃、東京タワー近くのビジネスホテルに泊まり、明朝ルノアールでひとりモーニングを食べている時に「私は今からどこに行ってなにしてもいいんや」と、突然「自由」で身体がいっぱいになった。遠くに一人で出かければそんな気分になるものなのかな、とその時は思ったけど、以降ここまで鮮烈な気持ちになることはなくて、慣れるもんなんだなあと残念に思ってる。海外に一人で行ったりすれば、またあの時と似た瞬間を得られるんやろうか。


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で、5月7日土曜日、初めて行った渋谷www、グーグルマップを頼りに歩いていたら、よくわからないままにわざわざ治安の悪そうな道を進んでた。なんとか開場時刻少し前に到着。わらわらと待ってる人たちは年代の幅が広いように見えてちょっとほっとする。

 

ライブは、「音楽交流記」というBialystocksが企画したものの一回目で、ゲストはグソクムズ。グソクムズ、ユーチューブで少し聴く限りそんな好みでないかもと思ったんやけど、ライブで観ると、ギターの人がすっごく魅力的な演奏で面白かった。力んでないように見えるけど、ピッキングのアタックは強いのかはっきりくっきりした、噛み締めたくなるような硬い良い音で、なんだか海外のギタリスト観てるようやった。海外のギタリストそんな観たこともないけど。佇まいが面白い人で、そのまま、その人がちゃんと鳴ってる感じの音だった。あのギターをまた聴きたいなと思っている。

 

そして、Bialystocks。サポートにコーラス(2名!)までいる豪華な布陣。その体制もさることながら、表そうとしているそもそものものがめちゃくちゃ大きく・広くて、膨れて会場からはみ出てるようなイメージが浮かんだ。ほんとにうまく言葉にできないんやけど、「なにか」はとにかく大きくて、でも、ギターボーカルの甫木元さんにも、ピアノの菊池さんにもそんな気負いみたいなのは感じられず、このライブを、空間を、誰が導いてるのか、すごく不思議だった。(甫木元さんに限ればそれは、お父さま、青山真治監督、前野健太さんの存在が浮かぶ。インタビューなどを読んでいると、縁を身体いっぱい吸い込んで、そしてそれを心底大切にすることが当たり前の人なのではないかと思う。)


素朴な日本語がよく使われる、でも掴みどころの少ない歌詞や、気取るところのない、ささやかで控えめなMCが、その存在のスケールの大きさと裏腹で惹きつけられるところもあるように思う。
こんなに強くなにかに惹かれることも稀で、何がこんなに好きなのかどうにも文章にできない。魅力を言葉にしてみようと試みて、あきらめて、を繰り返してこんなに遅くなった(今すでに8月も下旬)ので、もう諦めて投稿しようと思う。ご本人たちが、自分たちのとんでもないスケールを一向に意に介さないでいる、ように見えてしまうところに、このバンドの底知れなさを感じて、目が離せないのかも知れない。いやもうあまりに好きでよくわからない、というところが全て。

あ、あと、入場前のSEが、なにかの映画音楽のようやって、あれがなにやったかが解らず今も気になっている。どなたか判りませんか…。

 

次の10月の単独公演(確か、ワンマンライブ、とかじゃなくて、こう単独公演、と書いてあった気がする。そしてそれが似合う)のチケットは、日曜夜の開催で仕事の都合を思ってちょっと怯んだけどすぐ申し込んだ。取れた。とても楽しみです。


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あと、ライブ以外に行ったところ覚え書き。は次回にしよう。長くなりました。かしこ。