くまに誘われる

この間、「ざらざら」を読み終えたので、
また少しずつ、今度は「神様」を、読んでいて、
それもきのう読み終えた。
初めて読んだのは、おそらく10年ちかく前で、
たぶん、少なくとも3度目くらい。
やっぱり、素晴らしかった。

これまでは、こんなくまが、わたしのところにも来ないかな、と思っていたような気がするけど、
今回は、ああ、こんなくまになりたいなぁ、と思った。

わたしが、10年ほど変わらず好きな小説家は、
(10年経っていないけど、5年ほど中村文則も好き)

村上春樹は高校生のころ面白く読んでいたけど、それ以来ほぼ手に取っていなくて、新しいものも読んで無い。
「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」は、
太った女が、“健康的に太るのは難しいのよ、クリームをたくさん食べていないとすぐ痩せるの”、といったようなことをいっていたということだけ、
きっとそうなのだろう、と心底感じるところがあり、もう何年も、ふいに頭のなかで浮かぶ言葉になっている。

山田詠美と、村上龍江國香織も、高校生のころ、あーおもろ、と読んだけど、好きという感情は抱かず、それからたぶんほぼ読んでいない。
角田光代は、初めて読んだ時から苦手。

また10年後は、どんな本をどんな風な気持ちで読んでるだろう。
本を読んでるだろうか。本は、電子書籍が主になってるんだろうか。
宙に浮いたチューブのような道路を走る、自動運転の車に乗ってるのだろうか。

チューブの道路を走るバスに乗りながら読む「神様」は、
今以上に儚く甘美な小説になっていそうな気がして、すこし怖い気持ちになる。

(もうこれ以上、川上さんの小説から離れたところに行きたくない。近づきたい。
でも、離れ切ったところで読むと、とんでもなく甘美なのかもしれない、
というような想像により、怖い、と。)

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この写真は、
5月初旬に、儚い、が形になっているところを見たときのもの。