交差点で信号が変わるのを待っていて、
向かい側から、えらく太った猫が渡って来ようとしているのが見えた。
車がどんどんはしっている道なので、
あ、危ない危ない、あかんよ、と思いながら眺めていると、
やっぱり危ない感じで車が過ぎていき、
猫はくるりと身を翻し、来た道を戻っていった。
信号が変わり、にゃんこちゃーん、と心のなかで呼びながら探してみると、
猫でないものがいた。
誰かが、お正月ごろに積もった雪で作っただろう、雪だるまの溶け残りの横に、じっとしていた。
一目見て、アライグマだ、と思った。
撮れた写真はこれだけ。
その、アライグマらしき動物は、
わたしなどには一瞥もくれず、再び、交差点へと向かっていった。
太って、でもとても機敏で、今回は颯爽と赤信号の、それも4車線ある道を、すいすい横断した。
ああ、ああ、
と思いながら、信号無視は、
わたしは怖くてできなくて、
青になってから、急いで追いかけた。
アライグマが消えた道を、懸命に探したけど、
もう会えなかった。
赤信号でも、無理にでも、ついて行っていたら、
わたしは、違う世界に行けたのかもしれないと、「猫の恩返し」を思い出した。
そこからもう、あたまのなかが、アライグマで持ちきりで、
スピッツだったか何かがかかっていたイヤホンを外して、
ずんずん歩いた。
ちょっと経って、はて、
アライグマだ!と確信していたけど、
ただのたぬきではないのか?
という気持ちが浮かび、
暗い夜道で、
アライグマ たぬき 違い
と検索した。
アライグマだった。
しましまのしっぽは、アライグマの特徴らしい。
確かにアライグマであったことを、文明の利器により早々に確認し、
アライグマに会ったことは、
間違いなく、1/8の現時点で、
2015年一番こころ踊ったで賞なので、
お祝いに、ローソンのホットココアを飲むことにした。
22時過ぎ、温かいココアを手に、
ぎらぎらした国道一号線を睨みながら、
これは、昨日の夜の散歩で、
夜道にも関わらず、なぜか10円玉が落ちているのを見つけて拾い、
そこから、二歩先にあったお地蔵さまにお供えしたご褒美だったのかもしれないな、とか、考えた。