2025/11/01(土)
(承前)
“京都モダン建築祭 × 路上観察学会スペシャルライブ”、会場が国際会館で、今回初めて入った。雨上がりの気持ち良い空気、雲の影が山肌に落ちて動いていて、息を吸いながら観る。影を面白く感じる心はなんやろう。コンビニの自動ドアのロゴマークを精緻にうつしたまま床に落ちる影も、瓦屋根のなみなみの影が、地面の線にそって落ちている一瞬の風景もすごく好きだ。


話がそれてしまった。床が絨毯でふかふかの建物内で、スマートフォンに表示されるチケットを提示し、整理番号をもらう。え、まだ8番目なんかな、とのんきにロビーで座っていたけど、これは「8番」ではなく「グループ8」みたいなものやった。おにぎりもそわそわと食べ終えて、いざここに並んでくださいというスペースに行ってみると、たくさんの人がグループ1から順に並んでた。ひとグループにつき五十人くらいはいたのかな。甲子園でグラウンドに高校球児全員が並ぶみたいに縦に、グループ毎二列ずつ。こういう二列とか四列で並ぶとき、一人で参加してると整列を乱すのよな。わたしの後ろに並んだのはカップルで、若干男性の方が私の右横の空きポジションに立っている。乱してすんません、と思ったのも束の間、聞いているこちらがむずがゆくなる会話を周りが聞き取れる音量でずっとしゃべり始めて止まらないので、申し訳なさもどこかに。繰り広げられる身悶え必至の会話、ひとつやふたつメモしておけばよかった。

開場時刻になっていざメインホールに。「宇宙みたいやがな~」という感想を心の中で言いながら入場。今日は、友人が仕事終わりに来るというので、その分も座席を確保しようか、でも、整理券も発行されているのに、そんなことできひんな、隣に誰も来ないといいな、とドキドキきょろきょろしながら挙動不審に座っているとほどなく横に人が着席してしまった。
開演少し前、友人と連絡がつくと、すでに前方に座っていたようで、手を振りながらこちらにやってきてくれてすこし話していると、隣にかけていた方が、「ここ、よかったら」など言ってくださる。びっくりして、いや、でもそんな、等言っていると、「僕も、前方に座れますし」と言葉を重ねたうえ、快く譲ってくださった。友人と、好青年でしたね、と言いあい、隣で見ることができた。わたしは本当にだいたいが一人なので、とてもうれしかった。
今日の出演は、藤森照信さんに加え、常盤貴子さんと、鈴木康広さん。常盤貴子さんは、大林宣彦監督の「この空の花」に出てらしたから好きだ。遠目からでも美しさがほとばしっていた。
第一部は「建築探偵 京都をゆく」 として、藤森さんひとりでのお話だった。心に残っているのは、西本願寺伝道院のアーチについてのお話。スライドを見せながら、この形は構造上おかしい。伊藤忠太はなにか意図をもってやっているとずっと思っていて、最近ようやくわかった。とインドでそのルーツを確認してきたお話をしてくださった。伝道院は、今の住まいに引っ越してくる前、わりかし近くに住んでいてしょっちゅう通っていたけど、アーチに疑問を抱いたことなどなかった。それよりも、建物を取り囲むようにたくさん設置されたゼルダの伝説みたいな石像がいつも気になって気になって仕方なかった。この石像については藤森さんいわく「伊藤忠太の趣味」とのことだった。趣味か~趣味なら仕方ないか~。
(2週間後に見てきた。)

↑お話に出てきたアーチ



↑ゴゴーっと押して動かして当たりの位置にくると隠し扉が開きます(うそです)
第二部は、この会当日に、藤森さん、常盤さん、本橋さん、扉野さんで京都市内あちこちめぐってこられた路上観察についてのお話。鈴木さんは、サンダーバードが止まってしまってかなり遅れての合流だったとのこと。
最初に徳正寺さんの、藤森さんの設計された茶室「矩庵」にゆかれて、あちこちめぐってこられたなかに扉野さんがいらっしゃったのはこのことよりとの由。矩庵、お邪魔してみたいもんだなあ。徳正寺の催しに行って、窓ガラス越しに見たことはあるんだ。いいな。あとは、とにかく常盤さんが美しくチャーミングだった。鈴木さんは、すこし作品を知っている程度でしたが、予想外に素朴な…庶民的な…お話をする方だった意外だった。かなうなら、もっともっと藤森さんのお話を聞いていたい催しだった。ウィキペディアによれば79歳ということやけど、がっしりとした体躯でかくしゃくとしたご様子、そして知的でユーモアのあるお話しぶりでお年など感じるまでもなかった。素敵だったなあ。
帰り友人に、ピタゴラスイッチなど好きですか、興味ありますか、もし、もしよければ、と横浜美術館 佐藤雅彦展で購入したもじもじフラッグ「ピ」を渡してみる。とても喜んでくれて、これはわたしがマグネット・コレクターだと知って!?と驚いてくれていた。ピタゴラスイッチも好き、佐藤雅彦展も気になっていたとのことで、マグネット・コレクターだとは知らなかったけど、興味がなければただ邪魔なだけだろうし、と今日持ってくるかとても迷っていたので喜んでもらえて本当にうれしくほっとしたと伝える。ああ、よかったよかった。気になるなと思ったところには行ってみる。何かをみて誰かの顔が浮かべば渡してみる。私の生きている実感ていうのは大げさやけどもそういうところからですねと改めて胸に灯る。

(帰宅後、友人より届いたマグネット・コレクションに加えてもらえた「ピ」。こんな素晴らしいなかにいれてもらえるなんてさあ!!!)









































































