ひと月と少し前の静岡のこと

静岡観光二日目。

 

江之浦測候所へ行くこと以外何も決めないままに出てきていた静岡旅行。

それで二日目は、普段ブログを拝見している静岡にお住いの方が、日々ゆかれているとても美味しそうなあんなお店や、こんなお店を行きたいだけ行ってみようかと思っていた。

宿泊の場所を、横浜か静岡市で迷った時、静岡を選んだのはそんなことから。

 

の、はずやったのやけど、旅行の2日目、駅前でわたしは気付いたら静岡鉄道と、しずてつジャストライン(バス)の一日乗車券を手にしていた。というか、よく分からないままに買ってしまっていた。

 

これは、折角なら沢山乗らねばなあ、と、まず芹沢銈介美術館に。

 

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入口のアプローチから素晴らしかった。金木犀が植えられていて、ちょうど沢山咲いていた。

 

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訪ねた時の企画展は「のれん」。

とてもとても良かった。

 

頂いた出店目録の紙にメモした感想など。

・細密さを押し売りしない、細密な仕事

・国画会 富本憲吉の芹沢銈介に対する評「地道で正確な制作態度」

・「ファン・ホッホの生涯と精神病」

・“ようこそ文のれん”浄土真宗の信徒、因幡の源左の口ぐせをモチーフにしている(ただ単に千客万来のような意味でなく、良いことも悪いこともようこそ、と迎えること)

・“小川紙漉六曲屏風”「ぴっかり千両」天気の良い日は紙がよく乾くことから。

 

登り窯の絵の型染めなどあった。仕事の風景が好きな人だったんだなあ、と思う。

 

そして、美術館の建物が石で、ここも石か!と思ったのやけど、なんで石で建てたかというのが。

 

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住宅地に嘘みたいな登呂遺跡。

そして、昨日の雨と打って変わって晴天。

 

この登呂遺跡に隣接しているがために、遺跡となるべくなじむように石にしたと。建物の名前は石水館(せきすいかん)。館内で、はてなんだこれ?オブジェ?と眺めた窪みと中心に突き出た金属棒は、どうも噴水だったよう。

で、この建物の建築を担当したのが、白井晟一さんという方で、京都の方だった。

江之浦測候所でも、五条大橋の橋脚の石や、かつて京都の市電の敷石だったものなど見たけど、静岡・京都・石、がキーワードの旅になったなあ、など。

 

帰りのバスの時間が迫っていて、前日の雨でぬかるむこの遺跡の間を駆け抜けた。しんどかったけど面白かった。

(京都に帰って、翌日靴についた泥を見た時はちょっと嬉しかった。)

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あ、忘れてた。登呂博物館というとこで、「東海土器五十三次」というキャッチーなタイトルのも見ていた。

これはあんまりピンとこなかったけど、わたしは縄文土器より弥生土器の方が好きな気がするなあ〜と、レキシの「狩から稲作へ」の答えを初めて意識した。

 

静岡駅に戻って、またバスを乗り換えて向かったのは、その、いつも拝見しているブログで知った「つきさむ」というお店。

遠くにお城っぽいものが見える道や、商店街らしいところを通り抜け、バスがどんどん住宅地を過ぎて行く。

ここにあるのだろうか…?というところで、バスを降りたら、ほんとにあった!

 

つきさむ

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料理に対する感想とすると、すこし変かもしれないけど、空気の良い、見晴らしのいいところにいる気持ちになるような、瑞々しく潤んでいるような、そんなような食事だった。

ごはんも、デザートも、コーヒーもまんべんなくきちんと美味しかった。つくづくよいお店だった。通える距離に暮らしていたら、たぶん、月に2回は必ず訪ねる。

勇気を出して、ごはんの写真を撮ってもいいか聞いてよかった、と、見返して元気をもらうたびに思っている。

また、静岡へ行く機会が持てたら、必ず来よう、という決意を胸にお店を出た。

 

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そのあと乗ったバスがなかなかの古さで、えらい可愛らしかった。

敬愛するアキ・カウリスマキの色合いのようだ、と思わず撮影。

 

どうしたもんかな〜〜と思いながら、普段海を見ることがないので、海の近くまで行ってみよう!と清水の方へ向かうことにする。江之浦測候所や、その最寄り駅では、断崖の奥に海が見える、という感じで近づけなかったし。

 

ちびまる子ちゃんの街?なの?程度にしか何も知らず、途中電車に乗り換え、取り敢えず降り立った清水の駅は、全然海が見えなかった。

で、海の方に行くであろう、なんか突端っぽいところに向かうバスに乗り、景勝地らしいし、と三保の松原最寄りのバス停で降りる。

 

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海はどこかいな〜〜まだかいな〜〜と歩いていくと、とても歩きやすく舗装された、両脇に松の木がある遊歩道に出た。

松を見上げながら真っ直ぐ進み、遊歩道を抜けたところで、少し階段を上ると、海風で斜めに育った松林と、その奥に太平洋の水平線が見えた。

夕暮れ前くらいの時刻で、天から何か降りてきているような、美しい日差しの風景だった。

 

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呆然と、松を見上げたり、水平線を眺めたりしながら、心底から静岡に出掛けてきて良かったなあ、と思っていた。

 

ここの松の樹齢は150年から200年だという。

今回は、作ろうと思って作れるものではない時間の経過による稀有なもの、を、沢山眺めることができたな、と思う。

 

帰り、くたびれきってバスに揺られていて、たぶん五分もないくらいのひととき、うたた寝をしたら、目が覚めた瞬間、喉が痛くなっていた。

 

笠井珈琲店の冷たく甘いコーヒーとホットコーヒーのセットも、ジェミニーズのサンドイッチも、マリアサンクのケーキも食べてみたかった、と後ろ髪引かれる思いながら、ぎりぎり間に合って帰りのこだま号に乗車。

後続のにして、もうちょっとどこか行こうか、とも思ったけど、京都まで行くこだま号がとても少なく、これを逃すと帰り着くのが夜の10時過ぎ、とかになるので、風邪もひきかかってるし、おとなしく帰ることにした。

 

慌てて買ったサンドイッチは、パッケージ100点、中身20点でした。

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また来るよ、静岡。

とても楽しかった。

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